,  雑学,  風物詩

「土用」の時期は年に4回。どのように過ごせばいいの?

 

「土用」といえば、夏の「土曜の丑の日」を思い浮かべる方も多いと思います。鰻を食べると精がついて夏バテせずに過ごせるといいますね。

 

季節外れな話題かと思われそうですが、実は10月の下旬の今も、「土用」の時期なのです。

 

 

土用は「雑節」のひとつ

 

そもそも土用というのは、雑節と言って、二十四節気以外に季節の移り変わりを表す日本の暦用語のひとつです。

というと難しく聞こえますが、簡単に書くと、日本の旧暦というのは中国から来たものが基礎になっています。
中国の暦には二十四節気といって、中国の季節の移り変わりを細かく描写したものがあって、二十四節気はそのまま日本の暦にも取り入れられましたが、もちろん日本と中国では季節のズレがあります。

そこで二十四節気の補助的なものとして、日本の気候風土を適確に表すために「日本の節気」とも言える雑節が作られました。
土用は、この「雑節」のひとつです。
土用以外だと、節分、彼岸、八十八夜、入梅、半夏生、などが雑節にあたります。
雑節は季節通りで、二十四節気は実際の季節と少しずれているので、なんだかすごくややこしいんですよね。。。

 

 


さて、土用の具体的な時期はいつ頃かというと、四立(しりゅう、これも二十四節気で、立夏・立秋・立冬・立春を指す)の直前約18日間のことを指します。
例えば、冬の終わりの18日間を冬土用といい、冬土用の最後の日が節分、その次の日が立春となります。

 

その年によって日付はずれますが、例えば今年(2020年)の土用は、

  • 冬土用:2020年1月18日~2月3日
  • 春土用:2020年4月16日~5月4日
  • 夏土用:2020年7月19日~8月6日
  • 秋土用:2020年10月20日~11月6日

となっています。


各土用の最初の日を土用入り(どようのいり)と呼びます。

 

なぜ「土」用と呼ぶかというと、これも中国から伝わった陰陽五行説に由来しています。
陰陽五行説では、自然界は「木火土金水(もっかどこんすい)」の5つの要素から成り立っていると考えます。この木・火・土・金・水の5つの要素を四季にあてはめて(春を木気、夏を火気、秋を金気、冬を水気)、「土」は各季節の変わり目の18日間に割り当てられ、この時期は土の気が盛んになるとされてきました。

 

この四季の当てはめ方、ちゃんと季節に合っていると思いませんか?
春は草木が芽吹き、夏は太陽が照りつけ、秋は作物が実り、冬は雪が降る。

 

ということは、土用の時期には「土」に関係した何かがあるのでは、、、?

 

 

 

土用はやってはいけないことばかり?

 

実はその通り、土曜には土にまつわるいろいろな禁忌があります。
日常生活でいえば、言葉通り「土を犯す作業」が忌まれ、具体的には庭いじりをはじめ、井戸や穴を掘ること、土木工事、転じて新居をつくることなども好ましくないと言われています。

加えて土用の時期はどの方向も吉方ではないため旅や引っ越しにも向かないと言われ、それだけでなく更に「土用殺」と言われる凶の方角もあります。

 

●冬の土用・・・北東

●春の土用・・・南東

●夏の土用・・・南西

●秋の土用・・・北西

 

では18日間も何もできずどこにも行けないかと言うと、ちゃんと逃げ道も用意されていて、「間日(まび)」は土用の禁忌が影響しないと言われています。

 

間日は以下のようになります。

  • 春土用:巳・午・酉の日
  • 夏土用:卯・辰・申の日
  • 秋土用:未・酉・亥の日
  • 冬土用:卯・巳・寅の日

 

季節の変わり目は気温の変化などが不安定になる時期。
昔の人は「大仕事をしたり無理をすると体調を崩しやすい」ことを体感でわかっていて、加えて昔は今ほど医療が発達していなかったため、体調を崩すとその後に大きく響いてしまうことを恐れて、土用の時期には無理を控えていたのかもしれません。

 

 

 

土用の時期にすべきこともある

 

土用の時期はやってはいけないことばかり。。。という印象も受けますが、土用だからこそやるべきこともあります。

 

「土用干し」という言葉をご存知でしょうか。

 

土用干しといえば、最初に思いつくのは「梅の土用干し」。
昔は祖母が家で梅干しを作っていたので、梅雨の晴れ間に3日間梅の実をベランダに広げて干していました。
この「梅雨の晴れ間」が夏の土用に当たるのですね。

(北野天満宮の大福梅の土用干しの様子。朝日新聞デジタルよりお借りしました。)

 

 

他にも、昔は着物や書物の虫干しを年に3回ほどしていたそうです。
雨の翌日は避けて、晴れた日の10時〜15時くらいまでを目安に、直射日光を当てないように干します。

 

 

 

秋の土用は特に注意が必要

 

個人的にはちょうどいまの秋土用の時期が一番体調を崩しやすいとき。
「最近体調良くないな、だるいし、、、」というとき、もしやと思ってカレンダーをチェックすると秋土用だった。。。なんてことを何年も繰り返しています。

 

秋土用は夏から秋(暦の上では秋から冬ですけど)に変わるといってもまだ残暑があったり、夏の暑さが体に残っている時期。体も暑さで緩んでいるので、つい気持ちも油断してしまいます。
夏と同じように冷たいものを飲み食いしすぎたり、秋の風が気持ちいいからといって薄着で窓を開けて寝てしまったり、なんてことをしてしまうと一発で体調を崩してしまいます。

夏の終わりから秋にかけては、「体を冷やさないこと」が大事。
急に空気が乾燥してくる時期でもあるので、喉が弱い人は要注意です。

 

余談ですが、わたしは秋土用に体調を崩すことが多いですが、今年はお天気が不安定で気温の上がり下がりが激しいのにも関わらず、今のところ元気で喉も大丈夫です。
たぶんコロナの影響でずっとマスクをしているからですね。今年はみんながマスクをしているのでインフルエンザの罹患率も低いんだとか。怪我の功名、とはこういうことですねえ。

 

 

…といっても、油断は禁物です。

秋土用の食養生のおすすめは梨。梨は渇きをいやして潤いを与え、体の余分な熱をとってくれると言われています。
台湾や韓国、中国では梨を使った温かいデザートがこの時期によく食べられるそうですよ。日本だと梨を加熱調理することってあまりないですよね。でも確かに効きそう!

 

ベイクドアップルの梨バージョン、芯をくりぬいたら砂糖の代わりに蜂蜜を入れて、シナモンの代わりに生姜を入れて、オーブンではなく蒸し器で蒸すのがおすすめみたいです。
わたしも作りましたが、梨は甘味が強くて酸味がないので、シロップみたいでした。
あったかくしても食感や味はちゃんと梨でした。笑
アジアの国では冬に冷たいものはあまり取らないですね。マクロビオティックでも、食物を加熱して食べることで陽の気を体に取り込めると考えられています。

 

 

さいごに

普段はつい慌ただしく過ごしてしまいがちですが、たまには先人を見習ってゆっくりと体を休めて心身を整えて、次の季節に備えるのもいいですね。

 

冬のうなぎも脂が乗って最高です!