雑学

家紋でも有名な「木瓜(もっこう)」。植物の木瓜(ぼけ)とは関係ないの?

 

先日、増上寺の中を歩いていたら、道端の低木に見知らぬ実がなっていました。

 

 

はて。。。

ここにはなんの木があったっけ?と、春の記憶を辿ってみると、

 

 

ああ、木瓜(ぼけ)でした!

 

そう言えば綺麗な花が咲いていたなあ。

よく梅とかで、一本の木に二色の花が咲くのを「源平咲き」といって、なんて風流な呼び方なんだろうと感動しましたが、こういうのも源平咲きって言ってもいいのかしら?
「多色咲き」より風情があると思うのだけど^^

 

 

ところで、ぼけって木瓜と書くけれど、家紋や茶道具で馴染み深い「木瓜(もっこう)」とは無関係だって、ご存知でしたか?

 

 

 

家紋の「木瓜紋」

 

十代家紋のひとつにも数えられる木瓜紋。

 

 

 

「丸に木瓜」紋は、新選組の沖田総司の家紋としても有名ですね。

 

 

この木瓜紋は、諸説ありますが鳥の巣を図案化したものと言われていて、鳥がたくさん卵を産む事から子孫繁栄を表すとされています。

他には、昔はきゅうりに「木瓜(きうり)」の字を当てていたので、その断面に似ているからという説も。

 

また、すだれの帽額 (もこう) に多く用いたところから「木瓜」という漢字をあてるようになったとも言われています。

歌川国貞「源氏香の図 野分」

 

帽額(もこう)とは、すだれの上の縁の部分のこと。

 

 

でもこの模様、よくみると木瓜紋とは違い、外郭が5弁です。

 

実は外郭の数が4つのものを基本的に木瓜(もっこう)と呼び、ひとつ増えて5つになると五瓜(ごか)と呼び名が変わるそうです。

 

この帽額 (もこう)に施された模様は窠紋(かもん)と呼ばれ、五瓜に唐花(ごかにからはな)紋の発祥となったと言われています。
(「窠(か)」というのは地上の鳥の巣を表し、木の上に作られるものは「巣」と呼ばれていたようです。)

 

 

「五瓜に唐花(ごかにからはな)紋」といえば、京都の八坂神社の神紋のひとつ。

 

ちなみにもうひとつの神紋は左三巴。
この左三巴紋は新選組の土方歳三の家紋です。

 

 

八坂神社といえば、五瓜に唐花紋にまつわる面白い話があります。

 

八坂神社の氏子さんや関係者の方たちは、きゅうりの切り口が八坂神社のご神紋と似ていて「恐れ多い」ということから、現在も祇園祭の開催期間中にはきゅうりを口にしないそうです。

旬の時期に敢えて口にしないという事で、祇園祭が無事に終わるようにという願掛けの意味もあるそうです。

 

うーん、確かに4弁の木瓜紋よりはきゅうりに似ているかも。

 

 

花の「木瓜(ぼけ)」

 

 

植物の木瓜は実が瓜に似ている事から、木になる瓜(ボッカ、ボッケイ)が転訛して「ボケ」になったという説があります。

 

平安時代に中国から渡来したとされ、現在は一重のものから八重まで、形も色も様々な品種が200種以上あるそうです。

 

植物の木瓜も家紋の木瓜も、その名前の由来には似たようなものがあっても、両者に関係はないのですね。

 

 

でもお茶の世界では、どちらも馴染みがあります。

 

風炉の時期によく使われる「木瓜型」の食籠は、家紋の形からついた呼び名ですし、炉の時期には椿などと一緒に床の間に花期の長い木瓜を飾ったりもします。
(棘があるので茶花には向かないという方もいますが、花や枝ぶりはとても素敵です)

 

調べてみると、色々なものがいろんなところで繋がっていたりしてとても興味深いです。