広げた場所が茶室になる魔法。ふくいひろこさん著「はじめての茶箱あそび」
毎年、この時期になるとわたしのいる社中では、先生が茶箱を用意してくださって、茶箱や略盆点前のお稽古をします。
今年のお稽古では、先生が茶入れにと、ベトナムかどこかで買い求めたという何とも可愛い入れ物をお持ちになりました。
「茶箱だと茶入れの上に茶杓を置かないから、蓋が平らでなくてもいいのよ。」と仰って。
テイストの違うものが入ると、茶箱の中がぱっと華やいだのが印象的でした。
茶箱点前や略盆点前は、茶箱やお盆、振り出しという菓子入れや古帛紗など、普段は使わないお道具に心躍るお稽古です。
…が。
茶箱のお稽古は年に数回しかしないので、なかなか覚えられないし、そもそも表千家では「茶箱のお点前」自体がちゃんと決められていません。
お茶の世界が大好きだけど、習っていると決めごとの多さにげんなりしてしまうもの事実。
だけど、「じゃあ茶箱は決まってないからお好きにどうぞ」と言われても困ってしまう。。。なんだか矛盾していますね。笑
でもでも、今年こそはもう少し茶箱に馴染みたい。
そう思っていたところ、素敵な本をみつけました。
著者はふくいひろこさん。
京都在住の方で、編集者でもあります。
(婦人画報.comでちょうど今、連載もしています。
すごく素敵な記事です。ぜひご覧ください!)
この本は写真も美しく、お道具も素敵なものばかりです。
高いものばかりじゃないお道具を使っているところも魅力。
外国のアンティークショップで買ったガラスの器を茶入れに使ったり、それを時には菓子入れにも転用したり。
茶巾を入れるのも、普通は筒だと思いますが、箱型の蓋つきの器に入れたりもしています。
四季の茶箱の他にクリスマス茶箱も組んでみたりと、遊び心あふれる道具組みが盛りだくさん。
茶杓も普段茶室では使わないようなおしゃれなものがあったりして、ああ、そうだ、お茶ってこんなに自由でもいいんだよなあ、と気づかされます。
本だとお抹茶の茶箱のみですが、婦人画報の記事を見たら山で中国茶を飲まれたりもしていて、なんだか勝手に親近感!
わたしも今度友人と会うときのために、台湾茶の茶箱をつくってみようかしら。
ふくいさんはお茶の点て方にも工夫をされていて、例えば一碗ずつお茶を点てるのではなく、別の器で人数分を一度に点て、それぞれの茶碗に注ぎ分ける、なんてこともなさっています。お湯も節約できるし、衛生的です。今の状況ならではのアイデアですね。しかも注ぎ分けるなら茶筅が入らないような小さい茶碗でもいいので、人数分の茶碗を持ち出せます。
小さめの茶碗なら、お抹茶の他に煎茶や玉露、台湾茶も同じ茶碗で楽しめるなあ。
(婦人画報「茶箱あそび7月 冷水点」より。茶箱はもちろん、お盆?ざる?も涼しげで素敵。)
わたしも以前京都に住んでいたことがありますが、京都は本当にお茶に関するあれこれが身近な場所。
ちょっと歩くと素敵な骨董屋さんとかちょっとしたお店があり、茶箱の道具を見立てるのにもいい。
それにちょっと行くとお寺があるし、もう少し行くと自然があるので、ほっと一息、お茶をいただくのにうってつけの場所がそこここにあります。京都の町はお茶請けのお菓子が豊富で手に入れやすいのもポイント。
今年は特になかなか京都に行けませんが、次回訪れるときは茶箱のピースを探しに行きたいと思います。