合わせ方,  着物小物,  雑学

着物のコーディネートは意外と自由。簡単なルールを知るともっと楽しい!女優さんのコーデも参考に。

着物を素敵に着こなしている方を街中で見かけると、不躾とは思いながらもつい目で追ってしまいます。

 

つい先日も、クリーム色の小花柄の小紋を着ていらした70代くらいの女性とすれ違い、思わず振り返ると、帯結びは貝の口。

遊び心と実用性を兼ねた、かわいらしさを感じる素敵な着こなしでした。

 

洋服のおしゃれと同じように、いや、もしかしたら洋服以上に、着物のおしゃれは幅広いです。

 

洋服では派手だと思うような柄on柄も、主張の強い色合わせも、着物では意外と大丈夫だったりします。
今は見せる裾除けやレースの半襟があったり、小物もブーツや帽子を合わせたりと、着こなしの幅もどんどん広がっていますね。


吉田羊さん。

レトロな前髪で、半襟と帯の色味をポイントで合わせています。
かわいい帯は、子供の着物を仕立て直したものだそう。
ブーツを合わせてもしっくりきますね。

 

年代ごとに楽しみ方が変わるのも着物の魅力だと思います。

 

着物よりも格が上の帯を合わせる。

着物には、同等かそれ以上の格の帯を合わせるのがいいとされています。

 

小紋なら名古屋帯か洒落袋か袋帯。

(先述のご婦人は半幅帯でしたが、敢えて崩すのも素敵です)

 

帯は染めより織りが格上とされています。
更に金銀糸を使っていれば名古屋帯でもセミフォーマルに使えます。
逆に着物は織りよりも染めが格上になります。

 

こちらは北川景子さん。

染めの着物に織りの帯。

帯締めも丸い断面のもの(丸組)より格上の平打ちで、伊達襟もしているのでフォーマルな装いになります。

 

季節は少し先取りする。

着物や帯の柄には、季節感のあるものがあります。

 

例えば桜。

 

蕾が混じった桜の柄の着物なら、実際に桜が咲き始める頃まで。

満開の桜の柄なら、だいたい桜が5〜6分咲きくらいまで。

 

風景を描いたものでなく、下の写真のようにモチーフとして使っているものなら、もう少し早くから長い時期着られるかと思います。

 

梅もそうですね。

新春、つまり年明けからだいたい2月くらいまででしょうか。

 

基本的には、本物が出てきたら主役は本物に譲るのがおしゃれです。

 

 

敢えて真逆の選択もあり

ところが、真夏に雪輪模様の着物や帯を着ることもあります。

雪輪模様は、ボタン雪をモチーフに作られた模様です。

雪は五穀の精ともいい、雪が多く降ると次の年は豊作の年になる、吉兆の象徴なんだそうです。

 

それに夏は暑いので、見た目だけでも涼しく目で涼をとるという意味でも、夏物の着物に雪輪模様は多く使われます。

 

 暑い日に雪輪や流水模様の着物を召されている方を見ると、なんとなくこちらも爽やかな心持ちになります。

 

着物は自分だけでなく、周りの人にも季節を伝えるものなんですね。

 

小物で季節感と遊び心を

半襟や帯留めなどで遊べるなら、着物や帯が通年着られる柄でも簡単に季節感を出せます。

 

夏なら素材をガラスにするだけで涼しげですし、ハロウィンやクリスマスなど西洋のイベント時期なら、カボチャやクリスマスツリーの帯留めなんていかがでしょう。

 

赤の着物に緑の帯など、色でも楽しめますよね。

洋服だとちょっと露骨かな?と思っても、着物なら割と平気だったりします。

 

女優さんの着こなし

数年前のInRedの保存版より。

りょうさんのこのコーディネートがすごく好きです。

色合いを合わせて品良く、帯締めやファーで遊び心を加えたスタイル。
コルクの草履もポイントです。

 

常盤貴子さん

淡い色の着物に茶ベースの帯が温かみがあります。

草履も高さがある色の薄いもので、扇子もさしています。
着物は付け下げ小紋かな?
一見カジュアルな柄に見えますが、セミフォーマルだと思います。

 

石原さとみさん。

こういう、黒の着物に白(銀)の帯、という正反対の色味は、なんとなく関東(江戸)のイメージです。

 

逆に、

藤原紀香さんのこの着こなしなどは、西(京都)の方のイメージですね。

西の方では全体的に淡い色でまとめるというか、真反対の色をあまり使わないような気がします。

 

逆に関東では、着物と帯が薄い色でも、差し色に濃い色を使うような気がします。

松嶋菜々子さん。こんな感じですね。

※あくまでもわたしの印象です。

 

最後に、掟破りの素敵なご婦人方。

樹木希林さん。

これは実は二部式の着物です。
帯は何結びになっているのか気になります。
斬新、素敵すぎます!

そしてこちらは、なんと半襟と帯、着物の袖がお揃い!
しかも対丈(おはしょりなし)で足元はブーツだそう。

す、素敵すぎます。。。

 

そして黒柳徹子さん。

振袖が似合うなんて、もうこの方は永遠の少女ですね。

夏の薄物でもこの派手さ!

完全に彼女のカラーが出来上がっていますね。素晴らしいです。

 

そしてご自分の色が完全に確立しているもうひとかた。

水前寺清子さん!

男物の着物で男性の着方。なのにこの色気。

 

 

さいごに

今回ご紹介したのはほんの一例です。

着物はおしゃれで着るならば、ある意味何でもありです。

 

有名な観光地ではレンタル着物屋さんも数多くあり、着物で街を歩く人が増えていますね。

着物を着る方が増えるのはとても嬉しいことです。

 

でも冬の寒い中、羽織も着ないで薄い足袋ソックスを履いて歩いている方を見ると、見ているこちらまで寒くなりますし、海外の50〜60代の女性がピンク色の派手な柄の、お嬢さんが着るような着物に半幅帯を文庫にしているのも、なんだか複雑な気持ちになってしまいます。

 

まず自分が着たいものを着て楽しむ、というのはもちろんいちばん大切ですが、着物と洋服の一番違うところは、もしかしたら「見る人に日本の良さを感じてもらえる」ことだったりするのかも、なんてふと思ってしまいました。