日本絵画,  美術館めぐり

「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」@東京ステーションギャラリー

 

先日、東京ステーションギャラリーで終了間近の、「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」に行ってきました。

コロナ禍で一時閉館していましたが、6月に入って再開したため、タイミング良くお目にかかることができました。
ステーションギャラリーに来るのも、実は初めて!
東京駅は何でもあるなあ。
素敵な空間でした。

 

 

 

福富太郎(1931−2018)

 

福富太郎(本名、中村勇志智)は、東京出身の実業家です。

中学2年の時に敗戦を迎え、高校に入学しますが中退、15歳で銀座のキャバレーのボーイとなります。
その後キャバレーの支配人を経験し、1957年に26歳で独立、神田にキャバレーを開店します。
1964年、33歳で「銀座ハリウッド」を開店し、キャバレー「ハリウッド」チェーン創業者として「キャバレー王」「キャバレー太郎」の異称で親しまれました。
著書もたくさんあり、マスコミにも多く露出していましたが、一方で絵画蒐集(しゅうしゅう)家としてもその名は知られていました。

 

わたしは恥ずかしながら福富太郎さんのことは存じ上げなかったのですが、どうして鏑木清方がお好きなんだろうと思っていたら、小さい頃に、父親が鏑木清方の掛物を大切にしていたのを見ていて、それを太平洋戦争の空襲のときに持ち出せずに焼失してしまったのを後悔していたそうで、彼の絵画蒐集はそこが原点だったそうです。

 

絵画蒐集といっても、蒐集したものは専ら倉庫で管理していたというので、今回のような大規模な展示会は、誰よりもご本人が1番観たかったのではないかな、と思いました。

 

蒐集初期は鏑木清方の作品が主でしたが、その後は絵師の有名無名に関わらず自分が良いと思ったものを蒐集していかれたそうです。
美人画と並んで彼のコレクションの軸となっているのが戦争画で、今回の展示会にも印象深い作品が並んでいました。

 

 

今回の展示会の様子を少しだけご案内します。

 

インターネットミュージアムよりお借りしました。←こちらの記事もオススメ!)

この「妖魚」は鏑木清方にしては珍しい裸婦の作品です。
上の写真のように巨大な屏風に描かれています。

 

個人的には鏑木清方なら「薄雪」
今回、ものすごく近くで見ることができたので感激!

「祭さじき」

「妖魚」の隣にあった「銀世界」

(部分)


もよかったです。

 

あとは西の代表、上村松園の「よそほい」

 

清方と同じく水野年方に師事した池田焦園の「宴の暇」
構図といい女性の表情といい、今回の展示会の中で、この作品がいちばん好きでした。

 

 

 

この作品もものすごかった。


勝海舟にも愛された、「維新の洋画家」川村清雄 さんの作品、
「蛟龍天に昇る」(1891)

 

 

さいごに

 

今回ご紹介できなかった他にも素晴らしい作品がたくさんありました。
久しぶりに絵を観にいきましたが、やっぱりこういう時間を持つのは大切!心が洗われました〜。
福富太郎さんのようなコレクターの方が生涯をかけて蒐集された作品を一度に並べて見られるなんて、贅沢な時を過ごすことができました。

この展示会はこの後、新潟、大阪、高知、富山、岩手を巡回するそうです。

お近くの方は是非足を運んでみてください。