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1年の半分の穢れを落とす「夏越の祓(なごしのはらい)」。具体的には何をするの?その日のための和菓子とは?

 

早いもので、もうすぐ1年の半分が過ぎようとしています。

特に今年2019年は、日本では新元号となり、おめでたくも慌ただしい半年だったのではないでしょうか。

 

 

1年の半分の穢れを落とす「夏越の祓」

 

「夏越の祓」というのは、6月の晦日(みそか)、もとは旧暦の6月30日に執り行われていた神事です。

行事の由来は、故事に出てくるイザナギノミコトの禊祓(みそぎはらえ)にまで遡るそうです。

 

1年の前半の半年を無事に暮らせたことを感謝し、半年の間に溜まった心身の穢れや厄災、罪を祓い清めて、この後の半年も健やかに過ごせますように、と願う「夏越の祓」。

 

これと対になるのが、12月31日、つまり大晦日に行われる「年越の祓(としこしのはらえ)」です。

 

 

茅の輪くぐりで厄落とし

 

6月の終わりになると、たくさんの神社で茅の輪を見ることができます。

 

茅の輪は、災厄をはらい去る不意義な力を持つとされている茅(ちがや)で作られた輪(材料は地域によって違うところもある)のことで、この茅の輪をくぐることで半年間の穢れを落とします。

神社によって作法が違いますが、茅の輪の横にお参りの説明があると思います。
茅の輪をくぐって厄を落とした後に本殿に参拝して、年の後半の健康や幸せを祈願します。

 

 

人型で厄落とし

 

また神社によっては、人の形に切った紙に名前や年齢などを書き、お焚き上げをしてもらうことで厄落としをすることもあります。

自分の罪や穢れを人形に移し、その人形を海や川に流したり焚き上げたりすることで、自分の代わりに清めてもらうというものです。

 

夏越の祓の行事食、水無月

 

夏越の祓の時期になると、たくさんの和菓子屋さんで見かける「水無月」というお菓子。

京都では「水無月」という名の通り、6月を代表する和菓子です。

 

三角の形は氷を表し、上の小豆の赤色が魔除け・厄除けを表しています。

小豆の乗り方や、下のういろうの味や色は店によってさまざまです。下はういろうではなく葛製だったり、最近では水無月を模したケーキというか、洋菓子なんかもあります。
和菓子の水無月は、京都ではプレーン(白)、抹茶(緑)、黒糖(茶色)がポピュラーですね。やっぱり氷を表しているんだから、白が一般的なのかと思ったら、とらやさんでは黒糖ういろうの水無月を「水無月」と呼んでいたり、生クリームどら焼きで有名な朧ろ八瑞雲堂(おぼろやずいうんどう)では白や緑の水無月まで!赤い小豆が厄除けなのでは?と思うんですけど、考えようによっては緑も健康の色…?白は何だろう。笑

(朧八瑞雲堂の「水無月」朝日新聞より)

 

ではなぜ夏に氷を表したお菓子を食べるのでしょうか?

 

昔、宮中では氷の節句という行事がありました。

これは、夏の初めに氷を口にすると夏を息災で過ごせると言うことで、旧暦の6月1日に氷室から氷を取り寄せて宮中の人々が食べていたそうです。

しかし、夏の氷は庶民には手に入れることができない貴重なものだったため、氷をかたどったお菓子を作って食べ、厳しい夏を乗り切ろうとしたのです。

 

その中のお菓子のひとつが水無月だったと言われています。

 

水無月は、氷を食べて後の健康を祈願し、小豆で厄除けという、一度で二度美味しいお菓子なんですね。

 

今年の後半も元気で健康に過ごせますように。