日本のお茶

実は気軽に飲める、玉露。

 

日本茶、と聞いて一番最初に思い浮かぶのは、お煎茶。

という方が多数だと思います。海外の方には抹茶がポピュラーかもしれませんね。

 

では「玉露」というと、どんな印象でしょうか?

 

高級、美味しい、コスパ悪い(たくさん茶葉を使うのに少ししか淹れられない)、淹れるのが大変・・・という感じ?

わたしは、そんなイメージを持っていました。

 

ちょっと試しに飲んでみよう、というにはお値段が邪魔をして気軽に買えず、お煎茶でも美味しいものはたくさんあるし、お抹茶だって玉露と似た育て方で造られるし、それらのお茶とそこまで大きく味は変わらないんじゃないかな〜。同じチャノキという植物から造られているんだし。
なんて思っていました。
(京都駅の辻利のスタンドでいただけるホットの煎茶だって、お煎茶のイメージを覆すほど美味しいんですよ。しかも安い!)

 

そうしたら、なんと偶然にも玉露をいただきまして。
(しかも大好きな八女茶の玉露!)

 

さっそく淹れ方を調べて、初めて自分でちゃんと淹れて飲んでみましたが、、、

 

美味しい〜!!

 

新茶の柔らかさと水出しのまろやかさが合わさって濃くなったような、いやもっと別物?
なんか水が丸いというか、とろみすら感じる、強烈な旨みのかたまりのような感じ。

衝撃でした。これはごくごく飲むタイプのものではなく、少量を「喫する」お茶ですね。
低温で(50〜60度)で淹れるため、気温や室温によって温度調整が必要ですが、3回くらい淹れればスムーズに美味しく淹れられるようになるし、今日はちょっと濃いめに、とかちょっと熱めに、なんてアレンジも可能。

もちろん二煎、三煎と楽しめます。

写真は煎茶道の茶会に伺った時のものですが、この茶碗もとっても素敵で、玉露を飲むのにも最適なサイズでした!

 

 

玉露と抹茶の違いは?


玉露と抹茶はチャノキの育て方は基本的に同じで、何が違うかというと、茶葉の加工過程が違います。

 

参考記事→お茶の種類と製法について

 

過去記事でも書きましたが、抹茶や玉露を作るにはチャノキの葉に覆いをかぶせて日光を遮ります。
ここでかける覆いも、藁で作った「こも」や、ナイロンでできた「寒冷紗(かんれいしゃ)」などいろいろあります。覆いの隙間から届く「木漏れ日」がお茶を美味しくするんだそう。覆いには、チャノキの大敵である霜も防ぐ役割もあります。「こも」から落ちた滴が茶葉や土にあたって、お茶の香りにも影響することもあると聞いたことがあります。
そうして日光を遮ると、葉にテアニン(旨み成分)がたくさん残ります。

でも覆いをしてしまうと、「日光によって光合成をして養分を作る」ということができなくなってしまいます。
そうすると他の木よりも肥料が必要になります。
でも覆いをされたチャノキも、ただ外から与えられる肥料を待っているだけではありません。
少しの日光でもたくさん養分を作れるように、葉っぱに葉緑体を増やします。(植物ってすごい!)
その結果葉っぱの緑色が濃くなり、あの鮮やかなお茶の色になるのですね。

また、1本の木から収穫できる量が減る→手間ひまやコストがかかるのに少ししか取れない。ということになるので、お値段も高くなってしまうんですね。

 

 

玉露の美味しい淹れ方

 

さて、玉露の美味しさの秘密が分かったところで、美味しく淹れる淹れ方を紹介します。

 

まず、茶器。
ぶっちゃけ普通の急須でも問題ありませんが、小ぶりのものがおすすめです。
大きい急須だと、お湯の温度が下がりやすく、調整が難しいです。
必要なのは、急須と茶碗(少量を喫するのでお猪口のような小さいものがおすすめ)、それに湯冷まし。

形から入ると特別感も増し増しなので、機会があれば茶器セットを購入するのもありかも。

例えば、シンプルにこんなセットなど。


急須も茶碗も白いのは、茶葉の状態や色、お茶の水色(すいしょく)がよく見えるように。
急須はお茶の味を変えないように金属の網ではなく陶製。急須に取っ手が無いのは、玉露のようなお茶はもともとぬるい温度で淹れるため、茶器が熱くならないから不要なんだそうです。

 

お茶の品評をするわけじゃないし、ちょっと味気ないかなあ、というのでしたら、個人的にはこちらの鳥獣戯画もかなりグッときました!

 

 

ちょっと丸みを帯びた急須も可愛い!
鳥獣戯画って、見てるだけで気持ちが和みますよね。

 

わたしも今はありあわせの道具を使っていますが、いつか揃いで玉露用に茶器を購入したいなあ。

 

(ちなみに今使っている茶碗は、京都 一乗寺にある中谷のほうじ茶プリンの入れ物。少し大きめのぐい呑みくらいの大きさが絶妙なんですよねえ。玉露を和菓子と合わせるときは、三煎めくらいからがおすすめ。)

 

 

さいごに:熱湯で淹れられる玉露!?

 

玉露の素晴らしさについて語ってまいりましたが、それでもやっぱり湯冷ましがめんどくさい!なんて方もいらっしゃるかもしれません。

熱いお湯で玉露を淹れたら苦くて渋くて飲めないんじゃないの!?と思いますが、何と一保堂さんから「熱湯で淹れても大丈夫な玉露」が出ているのです!

 

 


こちらの「萬徳(まんとく)」が熱く淹れられる玉露。
ネット通販だと上のセットしか出てこなかったですが、他にも熱いお湯で飲める「適露(てきろ)」という玉露は小さいサイズのものもあるので、お近くに店舗がある方はぜひ行ってみてください。

わたしも飲んだことはないのですが。。。今飲んでいる玉露がなくなったら買ってみよう。

 

 

それにしても、熱いお湯で淹れられる玉露があるなんて!
何だか、お茶の世界も変わってきているんですね〜。