夏の茶室、和室のしつらえ
いよいよ、蝉の声も聞こえ夏が始まったような気がします。
関東の梅雨明けもそろそろ。
今年は「ちゃんと」梅雨があったなあという印象でした。
我が家の猫も湿気にぐったりしていました。^^;
さて、夏の茶席には、いろんな趣向があります。
目で涼をとったり、音で涼んだり。
今日はそんな夏のしつらえをご紹介します。
少しでもほっとしていただけたら嬉しいです。
和室も夏仕様に
大寄せの茶会会場や大きいお寺などでは見られないこともありますが、茶室や和室のある家では障子を葦戸(よしど)や簾(みす)に変えて夏支度をします。
風通しが良く、昼間は外から中が見えにくくなります。
障子と違って光を室内に反射しないので、見た目にも暗く涼しくなります。
また廊下や畳の上に藤のむしろを敷いたりもするそうです。
ひんやりした触感が気持ちよく、フローリングのように肌が床にべたつく感じもないので夏には特におすすめです。
余談ですが、上の写真のように坪庭があるところでは、庭に打ち水をすると冷やされた空気が家の中を通り抜けていくので、涼しく過ごせますよ。
夏の茶席
今でこそ空調管理が行き届いていて、夏でも快適に茶の湯を楽しめますが、昔は夏の茶席は灼熱地獄だったというお話をよく耳にします。
亭主は炭のそばでお点前をする、客もじっと座って参加する。。。
わたしも昔、家元の短期講習で夏真っ盛りの時期にエアコンどころか扇風機もない場所でお稽古をしたことがありますが、本当にしんどかったです。
昔は(今でもその風習は残っていますが)、夏の暑さを避けるために8月はお稽古がなく、茶事も朝茶事といって、朝の涼しいうちに茶事をしていました。
朝茶事とは、朝の早い時間(正式には日の出頃!)から茶事を初めて、あっさりとした茶懐石を頂き、続きお薄で締めるというもの。
正式な茶事ながら、いろんな行程が省かれているので、暑くなり始める9時くらいには終わってしまいます。
そしてもちろん茶席のしつらえは、涼を感じるものを。
この茶室の中にも、涼を感じるしつらえをいつくも見ることができます。
お茶碗も水指も平べったい形が夏らしく涼を呼びます。
平茶碗は口が広いためお湯が冷めやすいという理由で、
平水指はお客様にも水面が見えるように(目で涼んでいただけるように)との理由から夏によく使われます。
また、通常の水指を使うときは、大ぶりの葉を水差しの蓋に見立てる葉蓋(はぶた)のお点前というものがあります。
葉蓋の扱いは裏千家の十一代家元玄々斎の創案によるものですので、表千家では扱いに正式な決まりはありません。
葉は梶の葉のほか、ヤツデや蓮の葉など大きくて蓋になるものならなんでも良いそうです。
葉蓋はとても風情があり、葉についた水滴がいかにも涼しげで、葉蓋のお稽古の時には、ああ、快適すぎなくてもなんだか豊かだなあ、、、としみじみしてしまいます。笑
文明の機器に頼るのもほどほどに、たまには日本の夏を感じる時間を持つのも良いものですね。