
和菓子に欠かせないあんこ。あんこの旬はいつ?小豆の歴史は意外と古い!
和菓子やぜんざいに欠かせないあんこ(あずき)。
日本だけでなく海外でも、抹茶とともにあずきの人気は高まっているようです。
先日オーストラリアに行った時、ステイ先の老夫婦にバニラアイスにあずきをトッピングしたものを出したらとても喜ばれました。
「あんこ」の語源は?
「餡子、あんこ」はもともと「餅や饅頭などの食べ物の中につめる具材」のことを意味します。
「詰め物」というのが本来の「あんこ」の意味なんですね。
そういえば、日本髪や和髪を作るときに髪型にボリュームを出すために入れる詰め物も「あんこ」と言いますね。
小豆の歴史
さて、食べ物の「あんこ」ですが、今は製法も豆もさまざまな種類のあんこがありますが、1番ポピュラーなあんこと言えば、小豆から作られたものだと思います。
もともと小豆は、3世紀ごろに中国から伝来したとされています。
縄文時代には小豆を育てていたという説もあります。
小豆の赤色は魔除けとされ、また栄養価も高かったことから薬として珍重されていました。
伝来当時は小豆は甘味としてではなく、薬効のある魔除けのご利益のあるものとして、無病息災を願う年中行事などで赤飯やおはぎ、小豆粥を振るまったりもしていたようです。
そして、小豆を甘く炊いて食べるようになったのは日本に伝わってだいぶ経ってからのことです。
伝来当初は日本にはまだ砂糖がなかったので、塩で味付けして食べたり、煮汁を飲んだりしていたそうです。
その後しばらくすると、砂糖の代わりに、これもとても貴重な甘葛(あまづら)という、ツタなどの植物からとった汁を煮詰めて作る甘味料で甘味をつけて食べたりもしていたようです。
砂糖で甘味をつけ、現在に近い形で食べられるようになったのは室町時代のこと。
伝来したのが3世紀くらいなので、1000年くらいは甘くない小豆が主だったということになります。
砂糖が一般にも普及したのは江戸時代なので、「あんこ」の歴史は小豆の歴史からすると比較的新しいんですね。
小豆の旬はいつ?
小豆は、北海道など寒いところでも育つイメージがありますが、霜に弱い植物です。
春から初夏にかけて種(小豆)を撒き育てます。
夏にかわいい黄色い花を咲かせます。
小豆の収穫は10月〜2月。
実はこの時期に取れる新物は、さらっとしたあんこに仕上げるのが難しいそうです。
京都の和菓子屋さんによると、4月からくらいの小豆がいちばん炊きやすいそう。
8月あたりになるとひねになるので上等のあんこが出来にくくなるので、水の量や炊く時間などで調整するそうです。
なぜあんこは小豆なのか
和菓子屋さんで「こしあん」「粒あん」と言えば、まず小豆のものを指しますよね。
どうしてあんこといえば小豆がポピュラーなのでしょうか?
実はあんこはデンプンが多い豆でないと作りにくいそうです。
大豆などはタンパク質が多く、でんぷん質が50%に満たないため「大豆あん」というのはないんですね。
でも、枝豆だって大豆でしょ?ずんだあんってあるよね?
と思って調べてみたら、ずんだあんは枝豆をゆでてから潰したりしてペースト状にして、それから甘味をつけるので、小豆のように「炊く」訳ではないようです。
小豆から出来たあんこがここまで日本人にとって馴染み深くなったのは、
- 小豆が赤色だったため縁起のいいものとして古くから食べられていたこと
- 小豆があんこに加工しやすく、人々の間で人気があったため
- 美味しい上に栄養価も高い
というのが有力でしょうか。
「大納言小豆」の由来とは
小豆と言えば「大納言小豆」を思い浮かべる方も多いはず。
小豆の中でも特に大粒のものを「大納言小豆」と呼び、煮ても皮が破れにくく、糖分や食物繊維も多いそうです。
この大納言の名前の由来は諸説ありますが、その中でも面白いのが、
「煮た時に皮が破れる『腹切れ』という現象が起こりにくい小豆なので、武士のような切腹の習慣がない、公卿の官位である『大納言』という名前が付けられた」
という説。
何ともインパクトのある由来ですね!
お赤飯はささげ?小豆?
余談になりますが、お赤飯にささげを使うのは関東の風習だそうです。
関西では小豆を使うのがほとんどです。
関東では武家社会の名残か、
小豆は煮ると腹割れするので切腹を連想させるため、おめでたい席に出されるお赤飯には嫌がられたそうです。
そのため、皮が破れないささげを使うようになったのだとか。
個人的には、食感はささげの方が少し硬くて、味は小豆の方が甘みがあり美味しいような気がします。
(わたしは関東出身なので、ささげで作ったお赤飯の方が馴染みはありますが。。)
また地域や家庭によっては他の豆や甘納豆、栗などを一緒に炊き込んだりもするそうです。
カラフルでとても美味しそうですね!

